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2011年1月18日 (火)

クラチャン哀歌 (2009年10月1日)

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Tさんは20年以上続けていた、クラブ競技への参加をやめた。

この倶楽部に入会してから、毎月の月例には必ず参加してきた。
クラブハンデはシングルになり、今は3までになって競技中心の生活を送ってきた。

特にこの10年は倶楽部選手権の優勝を目指して、必死に練習を重ねてきた。
仕事は自営だったので、週2回はなんとかゴルフをやる時間は作り出せた。
その代わりに朝から晩まで、人の2倍は真面目に働いてきた...つもりだ。

Tさんの所属するクラブは、決して名門という訳ではなく、「コースは良いけれど会員数が多いから...」という評判のコース。
その代わりにクラブ競技が盛んで、Tさんのように研修会に入っていると月に2回は公式の競技がある。
月例の優勝や入賞は数えきれないほど経験してきたTさんにとって、そのゴルフ生活の集大成、最終目標が「クラブチャンピオン」になることだった。
いいところまではいった。
この10年はマッチプレーの準決勝までは必ず行って、いつもクラチャンを争う3人との戦いがずっと続いていた。
Kさんは、ハンデ0アイアンの名手...この10年でクラチャンを5度獲っている。
Wさんは、アプローチ・パットが素晴らしく、この10年で3度タイトルを獲った。
Oさんは、飛ばしやで荒っぽいがつぼにはまるといいスコアを出す...彼は2回獲った。
いつもクラブの4強として優勝候補に挙げられながら、Tさんだけがまだタイトルを獲っていなかった。

今年、Tさんは弱点だったパットを中尺に変えて、パットに自信が持てるようになった。
ドライバーの飛距離も、去年より伸びた。
36ホールの予選は、メダリストとして通った。
「間違いなく今年は俺が獲る!」そう信じて、マッチプレーに入った。

1回戦は7-6、2回戦は4-3で問題なく勝ち残った。
ただ、ほかの組み合わせで波乱が起きていた...5度優勝を誇るKさんが、2回戦で中位で予選を通った始めて聞く名前の選手に2-1で負けていたのだ。

Tさんの準決勝の相手はそのH選手...なんと、子供だった!
聞くと高校の1年生で今年このクラブに入会したばかりの新人...それも、朝名前を名乗って挨拶したのに挨拶を返せもしない、子供。
1番でTさんは、セカンドを1ピンにつけた。
Hはグリーンオーバー...ところがそこから強すぎるとも見えるアプローチをピンに当ててカップイン...Tさんは1ピンを入れられずに1ダウン。
毎ホールがそんな調子だった。
パット、アプローチともHは強すぎる調子で打ってくる...それがよく入る。
Tさんががとれるホールは、Hがパットやアプローチをオーバーして返しを入れられなかった時だけ。
圧倒されていた...強気強気の相手に先手が取れない...9ホール終わって3ダウン。
ラウンドめでは7ダウンになっていた。
...そして一度も追いつけないまま、9-8という大差で負けた。
この10年では経験したことのないような完敗だった。
試合が終わった後で挨拶をしたTさんは、勝って当然という顔のHという子供に無視された(ように感じた)。

そして、決勝戦もTさんのライバルだったOさんが、10-9という大差で負けたことを後で聞いた。
そしてその子供の親が練習場の経営者で、ずっとラウンドも週に2回は行っているということ、その練習場のレッスンプロにずっと習っていること...そして、その子供にとって、このクラブのクラチャンなんて、トップアマの全国大会の前のほんの小手調べだったことを知った。

...なんだかゴルフやクラチャン、競技なんてものに対する価値観がすべて壊れてしまったような気がした。
Tさんにとって「クラチャン」というのは、クラブを代表するゴルファーとなることであって、態度もプレーぶりもそのクラブを代表するものとしての自覚が常になくてはいけない存在だった。

...でも、今年のクラチャンは、挨拶も満足にできない子供で、クラブの代表になったなんて嬉しくもないという態度の今年入ったばかりのメンバー。
ほかの3人がクラチャンになったんだったら、共に戦ってきた戦友として仲間として(たとえ口惜しくても)祝ってやる気持ちはあったんだけど、今回はそんな気がすっかり消えてしまった。
自分たちの懸命に目指してきた「クラチャン」という輝かしい称号が、今は子供の足下で泥だらけになって転がっているような気がした。

自分は何をしていたんだろう、というむなしい気持ちが強くなって、それからTさんは競技への参加をやめた..。
ゴルフは上手いだけでいいのか?...強いだけでいいのか?...Tさんは、今でもそんなことばかりが頭に浮かんできて、考えがまとまらない。

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「基本的には上手で強いプレーヤーが良いのでしょうけど、
先ずその前に、人間性ですよね。
挨拶できない子供も不幸だと思いますが、親も同じように不幸だと思います。
私はそんなことばかり気にしているから上手になれない、と言われちゃいそうですが・・・
Posted by:みずお at 2009年10月01日(木) 15:08


みずおさん、こんばんは。
何となく、嫌な未来が感じられます。
多くの人が子供の頃からゴルフを始めることによって、ゴルフを「ただボールを打つだけのスポーツ」としてしか見なくなり、「上手くなれば賞金を稼げるスポーツ」と捉えるのが普通になると、今の「マナー」や「心配り」なんてのは存在する意味を無くしてしまうんではないか、と。
ではどうすれば良いか、と言われても答えは見つかってないんですが...
最近のゴルフの試合(アマモプロも含めて)の結果を見て、そんなことを感じています。
Posted by:大叩き男 at 2009年10月01日(木) 18:52

 Tさんの真摯な気持ちが痛いほど伝わってきます。
今日、練習場でジュニアのレッスンをしていました。
子どもが騒いでいてもコーチは叱りませんでした。
練習場サイドの都合が見え隠れして、嫌な気分になりました。
楽しく練習するのと、騒がしく練習するのは違いますよね。
 
 大叩きさんが仰る、嫌な未来。
ひょっとしたら、ゴルフ場が次々に無くなるかも知れませんね。
 ダッファーが、心のないゴルファーに嫌気がさして。
 どうしたらいいのか、私にも解りません。
とりあえず、ダッファー魂を忘れずに、
楽しくゴルフに励みたいと思います。
Posted by:黒いひつじ at 2009年10月01日(木) 22:49

黒いひつじさん、こんにちは。
ゴルフには、単なる「ボールを打つ」以外の「大人の楽しみ」みたいな部分があると思うんですが...
それがあるから、たとえ大叩きしてもまたやりたくなるような。
単なる数字の競争になってしまっては、ただの若者のスポーツになってしまいますね。
「勝てばいい」、というだけのものになってほしくはありません。
Posted by:大叩き男 at 2009年10月02日(金) 10:05

こんにちは。
前作「勘違い!」と併せて、まったく同感です。
世界と比して、日本のゴルフ事情は、プロのレベルやゴルフ環境以上に憂うべき状況にあるように思います。
まずは、自ら。しっかりと心に留めてゴルフに取り組んでみようと思います。
Posted by:shin at 2009年10月02日(金) 10:23

shinさん、こんにちは。
私が書いたことなんか、以前だったら当たり前のことなんですけど...
なんだかゴルフ界全体が変な方向に行きかけているような..。
...タイガーが出てきてから、ゴルフが単なる「賞金の稼げるスポーツ」になってしまった...というより「打数さえ少なければなんでもOK」と多数の人が思ってしまったところに問題があるような気がします。
Posted by:大叩き男 at 2009年10月02日(金) 12:04

私のホームにもトップジュニア数名がいます。
昨年もクラちゃん。。中学生です(笑)
同伴して挨拶、態度しっかりしてる子もいればそうでない子もいます。そうでない子には注意します。また「親に感謝しろよー」って言ったりもしますね
彼らとは練習量も我々と違いますし、恐ろしいのは年々すごい勢いで上達する事。そしてその通り私は「ジュニアパッティング」と言ってますけどとにかく強気ですね。ようは我々アマはオールドマンパーがベースですけど、彼らはプロを目指してます。つまりいかにへこますか・・なので・・・当然なんですけど・・・こっちまでおかしくなりますね確かに(苦笑)
そういった態度のジュニアには大人が厳しく接するべきだと思いますし、それでも言うことを聞かなければ勝手に倶楽部からほされます。ゴルフはけして一人でやるスポーツじゃない。その事がおのずと解ってくるでしょうし解ってもらわないと困りますね。
そして確かにいくらメンバーとはいえ「こんなとこに何も出なくても」と正直思う部分もあります。しかし資格がある以上仕方ないかと。大人達は子供に真のゴルファーたる姿を見せて勝負はともかくゴルフの本質だけは負けない様に・・・そんな風にやっていくしかないと思います。
時代は変わっていったって事ですね。
そのジュニアももし将来プロになれなくてアマになった時、またその下の世代に負けていくわけです。時代はどんどん変わります。しかしそんな中でもゴルフの本質だけは変わらない・・・その事にいずれそのジュニアも気が付くでしょう。
Tさんはもしかしたら純粋にゴルフの強さだけを求めて頑張っていたのかもしれませんね。強さだけで勝負しようとしてももう・・・ジュニアには勝てません。日本アマでもそうです。しかしゴルフに対する心の強さだけは負けない。そんな思いであればまた違った形でゴルフに取り組み続ける事が出来たのかもしれません。
Posted by:カリマン at 2009年10月03日(土) 11:16

カリマンさん、こんばんは。
おっしゃる通り、プロを目指しているジュニアには、もう勝てませんね。
かのTさんも、自分なりの戦いでゴルフに対する姿勢を示したかったようでしたが、戦いがマッチプレー形式だとそうはいかなかったようです。
どうしてもマッチプレーは個人対個人の戦いのため、競技者によっては(特に今回のようにずっと上を目指しているジュニアの場合)敗北は全人格や生き方まで否定されるような様相になることることが多々あります。
共通の価値観や美学が無い場合は、「良き敗者」になることさえ許されないわけです。
私はこんなケースでは、試合前にゴルフ対する姿勢や価値観をすりあわせる必要があるんじゃないか、とさえ思います。
極端に言えば、プロを目指すジュニアゴルファーは同じ土俵にいない異星人みたいなものではないかと。
Posted by:大叩き男 at 2009年10月03日(土) 22:27 」

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