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2012年4月 4日 (水)

遺産

Bu120404


ゴルフ場で父が倒れた、と言う連絡を受け取った。
父が一人で住む故郷にMさんと妹の二人が帰って来た時には、既に近所に住む人達の手で葬儀の準備が進められていた。
この故郷の地方では、隣近所の人達の手で葬儀が行われるのが普通だと知っていたMさん姉妹は、その隣近所の「組」の人にその後の成り行きを任せた。

Mさんも妹も、結婚してこの地を離れ、父が一人で暮らして15年あまりになる。
Mさんは東京、妹は大阪に住んでいる。
妹は夫婦と子供二人の4人暮らし、夫は公務員で何度か転勤していて、今は大阪にいるがこの先はまたどこかに行くはずだ。

Mさんは、娘との二人暮らし。
夫とは3年前に別れて、娘一人をなんとか育てている。
妹は祝福されての結婚だったが、Mさんは父親に反対されての駆け落ち同様の結婚だった。
いつもは温厚な父が、Mさんの結婚相手には激しく反対したのだ。
「あの男は信用出来ない」「あの男には情がない」「あの男は嘘をつく」...
「お前は見かけに騙されてはいけない」
と言われた...

反対を押し切って東京に出て、一緒に暮らし始めてやっと父親が言った言葉が理解出来た。
ハンサムで見映えのいい夫は女性に持てた。
しかし、楽をしようということばかりでまともに働かず、女性に手を出し、平気で借金を重ねた。
娘が生まれてからも、子供を可愛がるということもなく、反対にMさんや娘に暴力をふるうことさえあった。
借金の額が大きくなっても、浮気をしても我慢していたMさんも、娘に手を上げる夫を見て離婚を決意した...少なくはない借金の肩代わりをすることで、娘を引き取って離婚することに合意出来た。
それから必死に働いて来たけれど、もう限界かもしれない、という時に父が倒れたという知らせが来た。

葬儀が終わった後、「亡くなった後のことを任されていました」という弁護士から話を聞いた。
土地や貯金を妹と二人で分けると、ほぼ1500万円ずつ。
それぞれに生前作っていたという遺書が渡された。

Mさんは、父の残してくれた遺産のおかげで、肩代わりしていた借金の残額600万円程を返済することが出来た。
勿論働かなくてもやって行ける程の遺産を貰ったわけではないので、これからも娘のために働き続けるつもりだが、借金が無くなったという開放感は嬉しかった。

それから、妹への遺書のことは判らないが、自分への遺書には「お前にもゴルフを楽しめる程の余裕ができるといいのだけれど。」と書いてあった。
父には高校時代からゴルフを教わり、何度も一緒にゴルフに行った。
結婚前には、シングルハンデの父といい勝負をするくらいの腕になっていた。
...結婚してからの生活は、食べることに追われてとてもゴルフする余裕はなかった。
父の反対を押し切って家を飛び出した手前、家にはなかなか帰れず、数年前に娘と二人で一度帰っただけだった。

「ゴルフ場で死ぬなら本望だ。」
と昔から言っていた父だから、それは大往生と言えるだろうとMさんは思う。

でも...遺書の最後には
「お前と一緒のゴルフは楽しかった。また一緒にプレー出来たら。」
と書いてあった。

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