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2013年2月12日 (火)

世の中に...

Bu130212「世の中に、致命的な間違いに気づかず、誰にも教わらず、ただ懸命に猛練習するゴルファーほど哀れなものはない」...レズリー・ショーン。

レズリー・ショーンは1920年代のゴルフ評論家。
...こんなおよそ百年前の言葉が、今のゴルファーたちに全く古びる事も違和感もなく、普通に通用する事に驚く。
たとえ道具がいくら進歩し変わって来たとしても、ゴルファーたちの悩みは百年前から全く変わらなかった、とも言える。

今、自分を含めて周りでゴルフに熱中している人たちを見回すと、この言葉に当てはまる人が結構たくさんいる事がわかるだろう。
本当に真面目に一生懸命に間違った練習をしている人たち...

よく、このブログの「ゴルフな人々」に出てくる登場人物に「ほかのスポーツでは、運動神経が良かったのですぐに上達したのに...」というタイプの人達がいる。
逆に、「ほかのスポーツは苦手だったけど、ゴルフでは上達が早い」という人達もいる。
そして、「亭主の方が先に始めてたのに、後からゴルフスクールに入ってゴルフを覚えた女房に追い抜かれた」という夫婦も結構いる。

ゴルフのスイングっていうのは、基本的に人間の自然な動きには向いていない不自然な動きなのだ。
人間の関節や筋肉は、例えば棒切れを上から下に振り下ろす、横に振り回して殴りつける、あるいは石などを投げる、転がす、重いものを押す、引く、などの運動をしやすいような構成をしている。
そもそも原始時代から、生きるための餌や獲物を捕りやすいように作られて来た体だ。
ゴルフのように、地面にあるボールを背をかがめて棒切れで横に飛ばすような動きは、酷く不自然な動きで、こんな風に動くように筋肉も関節も作られてはいない。
だから、スポーツが得意で自由に体を動かせる感覚がある人には、ゴルフスイングは動きづらくてしょうがない。
感覚的には、ゴルフスイングはあちこちを「止めながら」一部だけを動かさないといけないような動きで、その不自然さに惑ってしまう。
だから、運動神経に自信のある人は、自分で工夫してなんとかしようとして意外に苦労する。

...しかし、いわゆる運動神経音痴の人や、球技が苦手で野球などをやった事の無い人、あるいはずっと運動を本格的にやった事の無かった奥さん達は違う。
なまじ運動神経に自信なんか無いから、自分でなんとかしようなんて思わない。
スクールなり、上手い人になり教わって、素直にその言う通りに動こうとする。
結局ゴルフスイングも反復運動で覚えるしかないものだから、はじめに正しい動きを教えてもらって、それに素直に従って練習を続けていた人の方が上達するのも早い事になる。

運動に自信のある人達の方は、上手く行かないゴルフにいろいろと工夫を重ねる。
偶に良いボールが出たスイングに、「俺は開眼した」と喜んでその感覚を追う。
しかし、そんなものはすぐに消えてしまって、また新しい試みを自分なりにやり始める。
...そして、「開眼」しては「閉眼」する繰り返しのうちに、スイングはどんどん独自のものに変わって行く。
個性的と言えば個性的だが、やがて酷くなるとプロも真似出来ないような複雑怪奇なスイングになってしまったりする。

まあ、そんなスイングでも限りない反復練習を繰り返せば、再現性は高くなってボールにはきちんと当たるようにはなる...見ている人が「あっ」と驚くようなスイングでも。
でも例えば飛距離においては、まず自分が正しいスイングをできた場合の飛距離には敵わないだろう。
自分の、限界飛距離には到底到達できないはずだ。
そして、自分なりの変則スイングを完成させたとしても、それではきっと得意クラブと不得意クラブが厳然と出来てしまうはず。

そして結局、その努力の結果としては「間違ってない」スイングを選んだ場合に比べて、努力は3倍・成果は3分の1ぐらいな事になるだろう。

上手くなるための最善の方法は、早く自分のスイングの間違いに気づき、効果的な練習をするために上級者やプロのアドバイスを素直に聞く耳を持つ事だ。
結局それが、早く上達しスランプも短くてすみ、飛距離も正確性も伸ばす事になり、無理なスイングで体を壊す可能性も減り、長くゴルフを楽しめることになるだろう。

ただし、教えてもらう上級者なりレッスンプロを選ぶ事は、簡単な事じゃない。
それぞれの身長・体重、筋力・体力、柔軟性、年齢、ついでに金力...目指すゴルフによって理想的なスイングは違ってくる。
そこまでわかって、アドバイスをしてもらえるか...
これにも幸運が必要かもしれない。


どうか...猛練習をする、真面目な「間違って致命的な欠陥を持つ哀れな自己流ゴルファー達」に、ゴルフの神様の祝福がありますように...

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ゴルフ名言かってに解釈」カテゴリの記事

コメント

立て続けにお邪魔します。
このブログを拝見しだしてから、ズーット
思っているんですが・・。
このイラストとゴルフエッセイを出版しては
如何でしょうか?(すでに出版済みなら、ごめんなさい)
それも電子書籍ではなく、本として所有したい!
じいさん世代は、出版された「本」に愛着が
あります。    お世辞でなく、
これだけ面白くて含蓄のあるブログはありませんよ!!
大ベストセラーになるかどうかまでは保障の限りではありませんが・・、是非ご一考を。

投稿: ダボじいさん | 2013年2月12日 (火) 20時14分

おはようございます。

私も哀れなゴルファーの一人なのだと思います。運動神経も人並み以上だとは思うのですが、なかなか上級者への道は遠いです。

でも、やるしかないので、いろいろと試行錯誤をしていきます。

投稿: クリ | 2013年2月13日 (水) 08時25分

ダボじいさん、こんにちは。

ありがとうございます。
実は、仕事先の編集者にも「本に出来ないかなあ」と相談したのですが、「今は本出しても売れないから・・」という事で、具体的にはなりませんでした。
いつかまとめたいとは思っているのですが、ダボじいさんのような方の声が出版社に多く届かない限り難しいようです。

自費出版というてもありますので、考えてはいるんですが...

投稿: 大叩き男 | 2013年2月14日 (木) 12時36分

クリさん、こんにちは。

ゴルフに関しては、ほかの競技での運動神経の良さも役に立たない事が多いですね。
私もいろいろ試行錯誤して来て、「プロに教えてもらった方が上達はしたろうなあ」なんて思いますが...

一生自己流で通しそうです(笑)。

投稿: 大叩き男 | 2013年2月14日 (木) 12時39分

つい 又書いてしまいます。
確かに「本が売れない」時代です。
でも、こんな素敵なイラストとエッセイを書く人は他におりませんよ!
普段静かに暮らしておりますが、ことゴルフでは
「団塊の世代」とその上の年代の
関心のありかと購買力を見くびってはいけませぬ。
似たような本が既に沢山出ているなら話は別ですが、全く新しいジャンルかも・・です。
お節介ですいません。

投稿: ダボじいさん | 2013年2月14日 (木) 16時12分

ダボじいさん、重ねてお礼申し上げます。

これは私の方がいくら言っても、出版社自体がその気にならなければ実現しない話です。
私のように世間的に有名でない人間にとっては、そういう先見の明のある有能な編集者との出会いでもなければ不可能です。
それに私の描いているテーマは、ゴルフ週刊誌などの方向とは明らかに違いますので、なお難しいと思います。
私が一番悔しく思っています(笑)。

投稿: 大叩き男 | 2013年2月15日 (金) 15時10分

大叩き男さん ごめんなさい。
なんだか 追いつめてるようで・・
申し訳ないです。
最後に一言だけ(しつこいですが・・)。
今までゴルフに関連してない出版社に当たった方が近道かも・・ですね(幻冬舎なんか)
この話はとりあえずここまで・・と(笑)。

投稿: ダボじいさん | 2013年2月15日 (金) 16時04分

ダボじいさん、ありがとうございます。

元々このブログを始めた動機が、30年あまりの取材などの途中で知る事になった、雑誌などに絶対の乗る事の無いゴルファー達の姿を残しておきたいからでした。
ですから、このブログは「本になる」などという事からは最も遠いテーマのゴルフブログです。
(そういうテーマが主体の記事が多いですから、出版者が乗らないのは当然の事です。)

そのうちに気が向いたら、自費出版でも考えます。

投稿: 大叩き男 | 2013年2月15日 (金) 16時27分

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