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2014年6月 6日 (金)

知られざる来日プロ〜2 (掘っくり返し屋のノート〜9)(後編)

Bu1405284_2関西でのフードの活躍について、宮本留吉は回想録でカナダのプロと書いているが、彼は茨木GC設計の傍ら大阪市内で週1〜2でレッスンをしていた、と有る。
宮本はフードについて、大男だが動きが緩慢でボールも飛ばず、大したことのない腕前であったと書いているが(ただ、宮本自身もレッスンが下手だと言われていた)....これは宮本の負けん気を表すものか、フード自体が本当に大したことがなかったのか。

しかし、1924年に神戸GCでプレーをしている写真を見ると大きなフォロースルーのスイングで特に問題があるようには見えないし、何より関西プロゴルフに大きな影響を与えているのだ。
彼が甲南GCでレッスンをしていた際に、日本のプロの祖である福井覚治が大きな影響を受けた為である。
それまでは福井は見よう見まねでゴルフを始めた為、理論は西村貫一を始めとする原著の読めるアマチュア達から教わるしかなかったのだが、フードの存在は福井にとってプロ意識とショットメイキングを培う切っ掛けとなり、彼のレッスンが上手くなった、と『Golf Dom』編集長である伊藤長蔵は福井の追悼記事で書いている。
そして福井の下からは何人のものプロが巣立っており、彼等は関西の主要倶楽部のヘッドプロになって、更に新進を育てている。

フードは1925年8月11日に、来日したオーストラリアゴルフ史に残る名Amアイヴォ・ウィットン(1893〜1967、オーストラリアOP五勝)と茨木GCでエキシビションマッチを行っており、これが日本で行われた最初の海外プレーヤー達の競技であった。

関西滞在中、甲南GCを始め阪神間でレッスンを行い、日本ゴルフ界の底上げに一役買っていたフードなのだが、1923〜25年にかけて『来日したプロ』という表現で、日本人ゴルファーが彼を優遇や持て囃す等してスポイルしてしまう、という外国人ゴルファーからの批判が起きており、これとどう向き合うかとして『海外のようにプロだからという理由で卑しい職業の如く言うのは感心しない、西洋の風習を丸呑みするのは感心しない』という意見や、『ゴルフが始まって20年そこそこの日本では致し方ない、それよりもスキルアップを図るのを優先すべきだ』という意見が雑誌に書かれている。
興味深いのが1925年当時、彼のせいで、というより情に厚い(?)ゴルファー達が彼に余計な金を振りまいたことにより、それに会わせて関西のプロ達が影響されてレッスンフィが1ラウンドの同伴プレーで九円(現在の45000円位)、訪問レッスンでも1回十〜十五円(50000円から75000円くらい)と非常なインフレを起こしたという批判も起きている。
*幸いな事に、この問題は国内ゴルフ界の発展と共に薄れて行き、1930年代に入るとレッスンだいは時間五十〜三十銭、同伴ラウンドはトッププロでも二円弱までに落ち着いた。

彼が日本を離れた明確な時期は判らなかったが、『Golf Dom』1925年10月号巻末コラム『19Th Hole』に送別の文が掲載されている。
『茨木のコースを作ったプロのフードが我が国を去る日も近付いた。彼は北米の西海岸に渡って職を求めるとの事である。彼の滞在についてこうあって欲しい、ろ思う点も少なくなかった。が、その責任の一半は我々ゴルファー達が負うべきものではなかったで有ろうか。しかし総勘定をしてみて、フードが茨木のコースを残して去るのはそれだけでも我がゴルフ界への貢献であると思う。(現代語訳)』

彼が日本を去ってからの動向については米英の年鑑で調べているものの、亡くなるまで?ゴルフ年鑑に載っているトム・ニコルと違い、残念ながらフィリピンにおけるコースレコードの記録以外は、未だ確認出できていない。

   〜了〜
2014年4月4日

参考資料
1 日本ゴルフ協会七十年史  日本ゴルフ協会 1994  
2 日本のゴルフ史(復刻版)  西村貫一  友松堂
3 新日本ゴルフ60年史  摂津茂和  1977 ベースボールマガジン
4 茨木カンツリー倶楽部40年史 
5 Golf Dom   1922〜29年分
6 Nisbet`s Golf Year Book 1910.12年版
7 Golfer`s Hand Book   1922年版
8 The Australian Golfer`s Hand Book(第三版)  1964

1・3以外はJGA資料室にて閲覧


前後編の記事の著作権は、松村信吾氏に所属します。

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