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2014年10月 3日 (金)

悲しみのイップス...3

Bu140910_2さて、本題の「悲しみのイップス」だ。

パットのイップスと呼ばれているものは、確かにアマチュアの人にもいないことは無いが...殆どはグリップを変えたり、パターを変えたり、左打にしたりで何とかなるもの。
でも殆どは単にショートパットが下手なだけなのに練習もしない人か、ただ「入れたい」という欲だけが先行しているか、そのパットを外すとみっともないと言う恐怖から速く逃げたいがためにパターがめちゃくちゃに動いただけの話。
どっちにしたって、パターをダフリでもしなければボールはヘッドに当たってが転がるんだから、いずれは入る...せいぜい3回か4回多く打てばいいだけの話。

スイングイップスは、なった人は可哀想だけどなる人は少ない。
傍目を気にしないスイングを心がければ、なることも無いはず。

本題のイップスと言うのは、「アプローチイップス」だ。
これは知られているよりはかかっている人はずっと多く、治すことはパットのイップスよりも難しく、深く傷ついてゴルフからだんだん離れて行く人が多い。
これにかかる人は例外なく「ゴルフが大好き」「ゴルフが生き甲斐」なんて人なのに。

そしてこのイップスに怖さは、パットのイップスなんかと違って「何回打てば済むのか判らない」というところにある。
パットは先に書いたように、目をつぶって打ったってボールにパターヘッドは当たってどこかに転がって行く...フルショットのように振ったりしなければ、グリーンの上を右往左往するだけで済む。
だけど、アプローチは(勿論パターを使えないケースでの)小さくてもスイングしてボールにクラブヘッドを当て、ボールを動かさなければならない。
そして、アプローチイップスの人はこれを空振りしたりトップしたりダフったり...上手くグリーンに乗るなんてのは奇跡に近い程確率は低い。
ボールは同じ場所に留まるか、ほんの少ししか動かないか、もっと酷い状態にしてしまうか、違う側のもっと違うトラブルに更になってしまうか...ともかく、何時終わるか判らない苦痛の時を同伴競技者に謝りながら、後ろの組を気にしながら、絶望と自己嫌悪に陥りながら過ごすことになる。

自分は今まで本当に沢山のアプローチイップスの人に会って来た。
不思議なことにそんな人の大部分はショットが上手く、良いスイングをしていた。
ティーショットもいい、セカンドショットでロングアイアンを奇麗に打ちこなす。
そんなショットには余裕を持って望んでいたゴルファーが、運悪くグリーンを外したと判った途端に表情が硬くなる...自信はどこかに逃げて行き、不安と焦りと戦う前からの敗戦を意識した様な顔になる。
まずなんとかしてパターを使えないかと考える...とても無理だろうと言う様な状況でも無理やリパターを使い、なんとかグリーンにボールがしがみついたら心底ホッとした表情になる。
しかし、池越えやバンカー越えや深いラフに捕まり、否が応でもコントロールされたアプローチショットを打たなければならないと判った瞬間に、泣きそうな程悲惨な顔になる...結果はまず100パーセント失敗し、どこかでラッキーな救いがあるまでの苦闘が幕を開ける。

Kというゴルフ雑誌のデスクをやっていた男の場合。
この細身で長身の男は、ドライバーやロングアイアンは本当に上手かった。
3番アイアンを7番を打つように使いこなし、殆どのホールはパーオンする...しかし、グリーンをわずかでも外した途端、どんなに素振りをして感覚を確かめても実際に打つアプローチは殆どがトップしてグリーンを通り過ぎてしまう。
パーオンしたホールはパーかバーディー、グリーンを外したホールはトリやダブルパーが並んでいた。
仕事上、こんな男を「自分ならすぐに治せる」なんて言うレッスンプロやコーチが、自薦他薦で彼のイップスを治そうとはした...その数は両手の指ほどいただろうか...だが、練習でいくら普通にアプローチ出来るようになっても実査のラウンドで彼のイップスが治ることは無かった。
その後退職した彼は、陶芸をやっていると風の噂に聞いた。

もう一人このイップスで印象深かったのが、オープンコンペで一緒になった男。
彼はゴルフ好きが高じて、ゴルフコースにオープンコンペを企画・売り込みをしてコンペを主催する様な仕事をしていた。
勿論ゴルフは上手かった。
小柄ながら奇麗なスイングで、飛距離もそれなりに出たしアイアンも上手かった。
この男もパーオンすれば簡単にパーやバーディーを取る...しかし、彼の問題は50ヤード以内にボールが止まった時だった。
フルショットではあんなに切れるアイアンを打っていたのに、ハーフショットなどのコントロールショットが打てない。
いや、正確に言うと素振りでは完璧にスムーズにスイングしているのに、実際にボールを打つと全部ミスショットになり、トップ・ダフリ・シャンク全てが出てしまう。
なので、彼は右手一本で素振りして右手一本で実際に打つようにする...当然当たってもグリーンの端に乗れば良い方だし、ライが悪ければそれもやはり失敗する。
グリーン前に池があるホールで、彼は刻んで残り距離をフルショット出来るところに置こうとした。
ところが左足下がりの傾斜で、更にボールが落ちたところが下り傾斜でボールは思ったよりもずっと転がり、池の手前で残り40ヤードのところに止まってしまった。
彼は何度も何度も繰り返し右手一本の素振りをし、慎重に打った...当然ダフって池に...2発目もトップして池の向こう側の土手に当たり、池...
ここで何を思ったか彼は後ろを向いてサンドウェッでフルショットした!
そしてフェアウェイを戻って、残り110ヤードのところからピッチングでグリーンオンさせた。
8オン、2パットで10、それまでパープレーだったのが...「何時もこうなんですよ」と言った彼の顔を見るのが辛かった。(彼のこのイッップスはスイングイップスでもあるのかの知れない)

他にも色々な人がこのアプローチイップスで苦しんでいた...その全ての人が、いいゴルファーだった。
だから、このイップスは悲しい。
多くの本が出ている、多くの治し方が載っている...しかし、その治し方は全て利き手である右手のかってな動きをどう抑えるか、にある。
しかし、それで治る人は本当にいるんだろうか。
心の動きがが直結したこのイップスとやらで、「抑える」動きが上手く行くとは思えないのだけれど。

ここからは私のこのイップスに対する勝手でいい加減な話。
私の考える方法は、「右手を最大限に活かす」という方法。
後に書いた男の、右手一本のスイングは実際にボールを打つ時にライに左右されすぎる...余程強力な筋肉が無い限り芝の上からある程度の距離を正確に打つのは難しい。
ならば、左手はグリップエンドを軽く握り、支点としてクラブを吊るし持つ。
そして右手は左手から離して自分の右手の感覚が最大限活かされると思うグリップをする...指先で握ってもいいし、クローグリップのようでもいいし、右手の平でしっかりでもいいし...ともかく右手の感覚だけで素振りをした後、右手一本で打つ感覚で振る(左手は支点としてしっかりとクラブを維持しておく事)。
抑えよう、力を抜こうとするから、実際のボールを前にするとバランスが破綻してしまう。
ならばその繊細で心に直結した右手を、思い切り使って打とうとした方が良いのではないか。

私はアプローチイップスではないけれど、こうやって左手でクラブを維持して右手の感覚で打つと言うアプローチをなんどかコースで試してみたが、結構上手く行ってチップインが何回かあった。
普通の時にはあまりやらないけれど、アプローチが上手くいってない時には時々やっている。

もちろん皆さんがやって「なんだこりゃ!」「ひでえ!」なんてなっても責任は取りませんけど。

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