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2016年10月 7日 (金)

忘れられないプロゴルファー...44「涂阿玉」   (2016年2月16日)

Bu160217a涂阿玉...ピンクの上下が168センチ55キロのスマートな体型によく似合い、「ピンク・パンサー」と呼ばれた台湾出身の女子プロ。
キャディーから始めて、淡水ゴルフクラブで台湾ゴルフ界の重鎮、陳金獅プロに出会いプロになった苦労人。
キャディー時代に客から貰った数本のクラブで始めた為、一本のクラブで色々な打ち方を自然にするようになったというのは、あのセベ・バレステロスの育った環境と良く似ている。

日本のツアーにデビュー後通算58勝、1082年から1986年迄5年連続賞金王、その後1989・1991年の2回を合わせて計7回賞金王と言う恐ろしい記録を持っている。
その強さはパーシモン時代に男子プロにも負けなかった飛距離と、アプローチ・パッティングの上手さも上げられるが...私が気に入っていたのは、その勝負所での「パンチショット」!
当時の女子プロで、そのショットを見てほれぼれとしたのは彼女だけ...当時素晴らしいものには、樋口久子の完全スエー打法とか、岡本綾子の「何を打ってもおんなじスイング」などがあったけど、その球筋が「美しい」とか「凄い!」とか感じたのは涂阿玉のパンチショットだけだった。

高いトップでほぼシャットに上げたアイアンを、身体の近くに引き落としながらインパクトでフェースの向きを変えずに打ち抜いて行く....打たれたボールは他の女子プロのボールとは全然違い、地を這うように低く出たまま目標迄糸を引くような球筋で風の中を突き進んで行く。
風が非常に強くフェアウェイも硬い台湾のコースに育てられたショットだと言われていたが(台湾出身のプロは低い弾道のショットが上手い人が多い)、女子プロでパンチショットを打つ選手は当時も今でも殆ど居ない。

彼女は普通にアイアンを打つ時は高いフィニッシュをとる女子プロらしいスイングだけど、此処一番で狙うパンチショットは低く抑えたフィニッシュとなり、それが実にカッコいい。
タイガーなんかがやった為に、「スティンガー」とか言われて、まるで新しい打ち方のように思っている人も多いらしいが、多分「勝つ為」にこの手のショットを一番有効に使ったプロは彼女だろう。

しかし、このパンチショットはいかに強いとは言え女性にとっては、かなり腕や肘に負担のかかるショットだったはず...これだけの所為ではないかもしれないが、最近は腰や手首などに重い故障を抱えているそうで、往年のショットをもう見る事が出来ないのが残念だ。

彼女の強い時には殆ど敵無しの状態だったために、一部に排他的な声があがったりもした...しかし、彼女は当時のインタビューで「台湾から出稼ぎに来ている」のではなく、「いつも日本ツアーの一員となり代表となって戦っている」と語り、実際に他のツアーとの対抗戦などでは、誰よりも日本ツアーの代表として熱く戦っていた。
最近になって日本にも「ゴルフ殿堂」が誕生し、日本のゴルフにおいて大きな実績のあったゴルファーが順次選ばれているが、この涂阿玉も「日本のゴルフ殿堂」入りに「日本ツアーの一員」として十分な資格があるだろう。

パンチショット...所謂アメリカンゴルフと対極を成すような「昭和ゴルフ」の技なのかもしれないが、こいつは上手く行くと実に気持ちが良い。
ショットに行き詰まっている人はちょっとやってみるといい。
意外にスイングに開眼出来るかもしれないぞ(勿論責任は持ちませんけど)。

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