車語り

2017年6月20日 (火)

本当に欲しいのは...

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やっとお金を貯めたとき、やっと本当に欲しい車を手に入れる事が出来るという時、選ぶ車にその男の生き方が現れて来ると言う。
定年になってまとまった金が入って、家族の為ではなく自分の為に欲しい車を手に入れる事が出来る時、フェアレディZとかスカイライン系のスポーツカーを買った人間を何人か見た。
恥ずかしそうに、でも誇らしげに「昔乗りたかった車」に乗り込む姿は、やっと長い間欲しかったオモチャを手に入れた子供の様で、「男ってのは...」なんて思わず笑ってしまう。
もちろん若いうちから外車のスポーツカーを乗り回す人達も、それはそう言う生き方を出来る人達なので「あり」だろう。
いけないのは「家族の都合」や「経済的な理由」が無いのに、無難なファミリーカーを選ぶ男(これは非難を覚悟の「暴言」です)。
奥さんや娘が頻繁に使うため、「運転がしやすく安全な車」として選ぶならそれはしょうがない。
しかし、「たまに家族を乗せるけれども殆どは自分が運転する」なんて立場の男が、ただ安いだけで無難だと言うだけで、あるいは沢山売れているから、と言う理由で車を選んではいけない。
車を買うと言う事はかなり高額な買い物をすると言う事...そういう場合は少しでもその男の美学なり信条なりが投影されたものを買うべきだろう。
ずっと以前、中古の箱形・パワーアシスト全然無しのランクルBJ44に乗っていた頃、打ち合わせで会った編集者に「初めてお会いするのに、クリエイターであるあなたがファミリアやカローラに乗っていなくて安心しました」「車って高い買い物なので乗る人が判ります」「このランクルにはあなたの生き方や美学が現れています」と言われた事が忘れられない。
自分ではランクルのBJが好きで乗りたくて乗っていただけだが、車に乗ると言う事はそう言う見方をされるものなのかと強く印象に残った。
今、多分人生で最後に乗る車を選ぶにあたって、多くの中高年の男が本音で自分の好きな車に乗ろうとしている(その年で車が買える人達は恵まれた人生の人達なんだろうけど)。
そして、その選ぶ車が二通りに別れているのが面白い。
一つは、そのスポーツカーのように「昔乗りたくて乗れなかった憧れの車」。
そしてもう一つが「ゆったりとしたワンボックスやキャンピングカー」。
これはどう言う人達なのか考えていると、最近道の駅で車中泊している沢山の同年輩の男達が思い浮かぶ。
軽のワンボックスや普通のワンボックスを自分で、快適な眠りを得られるように改造している男達。
キャンピングカーでなくても、自作のベッドや生活のしやすい設備を自分で作っていて、その車で旅をしている。
残念ながらそう言う男達の殆どが夫婦ではなく男一人の旅をしている所を見ると、こんなスタイルの車に乗る事が決して家庭的だとか家族優先と言う訳ではないのが判る。
つまり、男の好みだけで「人生最後の車」を買う時には、「スピードと運転する快感を大事とする男」と「流れて行く旅を楽しむ男」に分かれると俺は感じている。
...面白い。
俺の乗っている2代目のキャンピングカーも、もう10年を軽く越えているし小さく狭く車内の余裕が無いので、もう少しゆったりとした車に買い替えたい。
例えば海辺や山や林の中で、ゆっくりと珈琲を飲む空間が欲しい。
ただ、今の稼ぎではとても買い替える余裕は無いので、ロトが当たるのを待つばかり(笑)。
今の若い人達は、経済的事情で車どころか運転免許も持たない人が増えていると言うので、こんな話も関係ないんだろうけど...。
さて、人生最後の車を買うとしたら、貴男はどっちを選ぶんだろう?

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2014年11月 6日 (木)

雨漏りだ!

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うちの近所にはそれほどの被害も無く、なんとか通り抜けてくれた台風18号。
台風一過の晴天のうちに、どこかでラウンドしたいと思っていた。

その為にちょっと練習でも、と乗り込んだ車のシートベルトが...「あれ?なんで濡れているんだ?」
慌てて後ろのシート周りを見てみると、2列目シート右側のカップホルダーに水が溜まっている!
「ええ!」
と周りを調べてみると、歯磨き用のカップにも水が溜まり、その辺においてあった帽子や本が水でびっしょり!
当然シートも濡れているし、床まで水で湿っている。
どこから水が入ったのかを調べていると、右中央の窓の上の部分から水がポタリ、ポタリ、と。
窓枠の上の部分が触るとぐっしょり濡れている...しかし、漏れているのは窓枠より上も...上部ベッド部分の壁際も濡れている。
キャンピングシェルの右側窓部分を見てみると、取り付け部の上側から水が入っているらしい事が判った。
これは油断だった。
今のキャンピングカーは、普通のホンダステップワゴンの屋根部分にFRP製のシェルをかぶせたもので、以前のキャンパーと比べて防水性能は格段に良いと思っていた。
FRP製のシェルは一体整形であるので、継ぎ目がない。
だから雨が車内に入り込む可能性は殆ど無いはず....以前乗っていたトラックベースに大きなホーム部分を乗せたキャンパーは、基本真っすぐな壁を組み合わせて居住空間を作っていたので、広い室内空間のかわりに全ての直線的な壁のつなぎ目に定期的に防水用のシリコンのシールド剤を充填しなければ必ず雨漏りした。
走る車の上に乗っているハウス部分は、要するに常に大きな地震に遭っている家の様なもので、どんなに丁寧にシリコンでシールドしても震動や温度差や雨風や太陽の影響ですぐに劣化して行くので、年に一度は整備する必要があった。
これが大きなキャンパーだったので、本当に時間と手間がかかる面倒な作業だった。

今のキャンパーは一体整形のキャンピングシェルで出来ているので、キャンパーとしては狭いけれど防水のシール塗り作業からは解放された、と内心油断していた。
「窓」があったのだ...シェルをくりぬいて窓の穴があけられている事をすっかり忘れていた。
外部と室内を乾かし終えたら、明日にでもホームセンターでシリコンの防水材を窓の周りとシェル説合部分に充填する。

キャンピングカーというのは、こんな問題も起きやすいのだという事を、興味がある人は知っておいた方がいい。
なにしろどこかで一夜を過ごす家なんだから、雨漏りというのは一番大きい問題となる。
もしこんな雨の中で車中泊をしている時、布団やベッドが濡れ出したり、屋根からポタリポタリと水が落ちて来たら、とても寝てなんかいられないし運転するのさえ困難になる。

本当に、出かけていないときの雨漏り発見で良かった。
被害は本3冊と帽子が二つと、タオル2本...乗せていたキャディーバッグやクラブには被害がなかった。

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2014年3月 1日 (土)

雪の日の運転

Bu140214また雪が降っている。
それも大雪になって、また積もりそうだと天気予報が言い続けている。

今乗っているキャンピングカーは、ベース車がステップワゴンで2WD。
車に乗り始めてから初めての2輪駆動車で、こんな雪の日には全く運転する気にならないし、怖い。

以前は、はじめがジムニー360、次がランクルBJ-44、次がサファリグランロード、そしていすゞエルフ1・5トン4WDと4輪駆動車に乗って来て、こんな雪の日になるとかえって喜んで雪の中に出て行った(笑)。
ずっとそういう車で、こんな雪の日に今まで何台の車を引っ張り上げたり助けたりした事か...悪天候時に4輪駆動車に比べて2輪駆動車の危険な事をさんざん見て来たので、自分が助けられる方に廻りたくはない。

いくらチェーンや雪・氷対策のタイヤをはいていても、雪が積もる様な状況では余程の事が無い限り2輪駆動車は走らせてはいけない。
本当に「え、こんなところで?」という所で立ち往生する羽目になる。
単に立ち往生ならいいが、スリップして事故を起こして他の人や車を巻き込んでしまったら取り返しがつかない。

4駆なら2駆よりはずっと走れるが、勘違いしてはいけない...「4駆は万能ではない」。
単に限界条件が高いだけで、事故る時には2輪駆動車よりずっと大きな事故を起こす事になる。
つまり、2輪駆動車では時速30キロがやっとの路面でも4輪駆動車なら50キロで走れる...しかし、それ以上のスピードを出して限界を超えると60キロで事故を起こす事になる...当然事故はずっとひどい被害を出すになってしまう。
たとえ50キロで走れたとしても、何かが起きてブレーキをちょっとでも強く踏んでしまうと、たとえブロックの大きなマッド&スノータイヤでも簡単にスリップしてしまう。
もし滑り出したら、あとは運転がどうとか言う問題ではなく単なる鉄のかたまりのソリになるだけ。

ランクルの時、深夜スキー場の近くの雪の固められた道路を40キロで気持ち良く走っていた。
左カーブを抜けた先に踏切の標識を目にした...深夜だったからまず電車は来ないはずだったけど、反射的に普通にブレーキを踏んでしまった。
とたんに4駆で走っていたランクルは、何の抵抗も無くなったような感触を残してそのまま滑って行った...ハンドルもブレーキも何の手応えも無い...ただ視界はゆっくり廻りながら流れて行って、40〜50メートル程滑って...当然踏切はスキーのように滑り越え、横を向いて滑って行って踏切の向こう側で反対車線に入って止まった。
もし昼間で対向車線に車がいたら、もし踏切がしまっていて電車が来たら...止まった時に冷や汗をびっしょりかいている自分に気がついた。
これは運が良かっただけなのだ...運が悪い人は事故を起こして大きなニュースになったり人生を終わったりしてしまう。
くれぐれも4駆を過信しない事...4駆で事故れば大きな事故になることを忘れるな。

そして、今回の様な「夜に吹雪になる」なんて予報の時、夜の運転はフォグランプが無ければ絶対にしない事。
以前乗っていた4駆には全てシビエの大きな黄色いフォグランプをつけていた...ランクル・サファリでは黄色いスポットランプもつけていた。
この黄色い光は、吹雪のときなどに白い普通のヘッドランプよりずっと遠くまで見えるようにしてくれる...吹雪で白いライトは、ライトの近くの雪に反射して視界に白いカーテンを作るだけで、殆ど向こう側の視界を遮ってしまう。
酷い吹雪だと視界はライトの先数メートルも無くなる(黄色いフォグなら数十メートル見える)。

今の普通車には殆ど黄色いライトはないはずだから、吹雪の夜の運転は絶対しない事だ。

運転技術は、ともかくスピードを出さない事に尽きる。
特別な雪用の運転は無い...急な操作をしない事、ゆっくり走ることだけ。
以前、北海道阿寒にいる友人と話をした時、「この辺の雪の運転に慣れているヤツでも、冬の初めの道路に雪が積もり始める頃は大きな事故を起こす人が多い」と言っていた。
毎年の事で慣れてはいても、ついスピードを出し過ぎて道路から飛び出して、木の上に車ごと乗ってしまう人なんかが多いんだそうだ。

という事で、こんな大雪予報の出ている時には本当に必要でやむを得ない場合を除き、絶対に車には乗らないように。
たとえゴルフ場が営業していても、早朝や夕方の行き帰り道に凍結予想が出ている時にはキャンセルするべきだ。
ゴルフ場はどうしても山の奥や斜面の、人が住む場所からはなれた所に作られている。
当然、行き帰りは雪の融け難い山道を通る事が多くなるので、事故を起こす可能性は高い。
ご注意を!

4輪駆動車でも危ないし、まして普通の2輪駆動車じゃ自殺行為だと思っていた方がいい。

本当に、ご注意を!

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2012年9月14日 (金)

ステップワゴンベースキャンパー

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全財産をかけたキャンピングカーを、手放さなくてはいけなくなった。
いくら抵抗しても抗議しても、車検の時に車検場から出さないと宣言されたのだ。

この当時そのキャンピングカーが何百万のものであろうと、売りに出せば二束三文...殆ど数十万の金にもならなかった。
アメリカ製だの韓国製だのヨーロッパ製のトラックベースキャンパーは、大手を振って乗り回せるのに、国産を信じたものだけが馬鹿を見た。
この国の規制とは、一体何処を向いているんだという思いはずっと消えない。

それでも、なんとかそのキャンパーを作ったセキソーボディに相談して、前のキャンピングカーを下取りにして二回りも小さいステップワゴンベースのキャンパーを買う事にした。
展示車両で中古という事で、なけなしの200万以上をプラスして...

乗車定員は6人、就寝定員は4人というキャンパー。
ベース車はステップワゴンのガソリン2000cc。
走行距離は数千キロ。

寝たり休憩するときのスペースの狭さは、前のキャンパーとは比べ物にならない。
しかし、実際にこの車を運転してみると、頭の上に乗せたベッド部分の大きさも気にならず、まるで普通の乗用車のように良く走る。
高速でも、曲がりくねった道でも、その安定感は今まで乗った車の中で一番。
特に車高が高い割にはカーブでの挙動も安定していて、ホンダというメーカーの技術の高さを感じた。
高速は追い越し時にオーバ−120キロでも安定しているし、100キロ前後の巡航では全く不安を感じない。
特に以前のキャンピングカーでは一番危険だった、大型トラックの追い越し時の風圧や、トンネル出口での風による影響も殆ど感じない。

しばらく乗って、自分が年を取って行く事を考えれば、この方が「あり」かな、という感じになった。
前のキャンピングカーは、運転がきつかった...ちょっとした坂道では、あっという間に後ろに数台の車がつまり、曲がりくねった道では十分にスピードを落とさなければ車体が不安定になり、止まってから巡航速度になるのに時間が酷くかかり...車の流れに乗ろうとするだけで汗びっしょりになるほど疲れるのが普通だった。
今のステップワゴンベースのキャンパーは、鼻歌まじりで流れに乗って走れる。

そして一番違うと感じたのが、AT。
今までの車は、ジムニー・ランクルBJ44・サファリ.いすゞトラックベースキャンパー、すべてマニュアルシフト、つまりMTだった。
基本4駆以外は車ではないとの考えから、4駆を選びいろいろなオフロードを想定してMT以外は考えもしなかった。

それが、諦めとともに買い替えたこのキャンパーは、軟弱な2駆でAT。
そのかわり運転は、今までの車に比べて考えられない程、楽。
運転していて汗をかかずに乗れる車、海や山に行くまでが楽な車。

これは「あり」だと思って、今はそれなりに満足して乗っている。
...ただ、雪道や悪路には入れない事と、景色の良い所で一服する時に、前のキャンパーのような広さのゆとりが無い所が残念な事。
それと、自分の寝る下の場所のベッドは座席を倒して作るものなので、凸凹があって布団を敷いても寝辛い事...これは、近々車中泊用のマットとやらを買ってみようと思っている。

まだ走行距離は50000キロ程、それなりに満足して、これからもこいつとの人生は続きそう...

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2012年6月 7日 (木)

さよなら「夢のキャンピングカー」

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いくら抵抗しても、車検の時期が来れば手放さなくてはならなかったディーゼル規制。

燃料効率の良い、より省資源なはずのディーゼルエンジン車への、(自動車業界・石油業界の利益を優先した)使用者だけに犠牲を強いる攻撃は、これで大儲けをしようとしている何者かの悪意が見えて腹が立ち不愉快きわまりないものだった。
そして、「ディーゼルの排ガスをクリーンに」の大義名分の前に、怒りの持って行きどころがなく、ただ「もう二度とディーゼル車なんかに乗るものか!」、という思いしか残らなかった。


車を買おうという人には2種類の人が居ると思う。
それはいわば、その人の生き様とか人生の過ごし方に共通するものだと感じる。

一つは、スポーツカーや、高価なドイツ車や、ヨーロッパ車、アメ車などの「走り」と「見栄」を楽しもうという人々。
手に入れた車は、自分の憧れの姿の実現であり、現実の自分から遊離した別な「カッコいい」自分になるための鎧兜...いわばガンダムやロボットを操縦する子供の頃から夢の実現だ。
こうした人は、いつも自分の車を良く手入れし、晴れ着を着るような気持ちで車に乗る。

もう一つは、車を単なる道具と見る人。
走れれば良いという人から、家族が移動するためにとバンやワンボックスワゴンを選んだり、寝られればもっと良いとキャンピングカーを選んだりする。
走りそのものより、それ以外の目的に合っていれば、走行性能はそれほど気にしない。
外観とかはあまり気にしない。

実際、乗っている車を見れば、その人が自分と話が合うか、価値観が近いかは判断出来る。
勿論2台も3台も持っている人は良くわからないが、普通は車という高額なものを買う時にはその人の価値観が出るものだし、その人の志向や人生の目標まで判ってしまうものだ。

まあ、それが違うからと言って馬鹿にしたり羨望の気持ちを持つことは必要ないが、根本で価値観が違うだろうという予測をして付き合うことは出来る。
これは後で余計なトラブルになることを防ぐことにもつながる。

自分の話に戻ると、結局車は売るにも売れず、作ってもらったセキソーボディーで引き取ってもらって、代わりに(もう金が無いので)試乗用の中古の展示車両を安く売ってもらうことになった。
それこそなけなしの最後の貯金で買ったのが、今も乗っている小型のキャンピングカー。

勿論ガソリンエンジンで、ホンダのステップワゴンベースのキャンピングカー。
就寝定員3人を4人に改造してもらって今も乗っている。
以前の車に比べればとんでもなく狭いけれど、もう大人になって仕事に就いている二人の娘が一緒に乗ることはあまりなく、夫婦二人ならこんなものかな、と思っている。

家族が一緒に旅行したりキャンプしたり出来る、最後の十年をあのキャンピングカーで過ごせたことは今も後悔していない。

...貯金もなんにもないけれど、小さなキャンピングカーでいつでも旅に行ける(勿論貧乏旅行ね)自由は、今もこの手にしっかり掴んでいるし。

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2012年5月25日 (金)

ディーゼル規制

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ある日、テレビのニュースでその映像は流れた。

いろいろと目立つことの好きな東京都の知事という男が、記者会見の場で記者に向かって小さなガラス容器に入った黒い粒子をバラまいた。
「キャッ」とか「わあっ!」とか言う記者達の声の後、「トラックはこんなものをバラまいているんだ」と言う。
このトラックのディーゼルエンジンから出る、「PM・NOx」を規制するというディーゼル規制がこの時から始まった。

確かに自分でも大型トラックの後ろを走ると、黒煙とともに臭い排ガスの匂いが車内に入って来て、抜ける所であればトラックの前に出たいということは良くあった。
特に整備不良とも思える古いトラックなんかの後では、前が見えなくなる程の黒煙あるいは白煙で窒息するような気持ちになることもあった。

しかし、当時の排ガス規制をクリアしたトラックであれば、それほど酷い排出物が出ることはなかったと思うのだけど。
...何よりも首都近辺の殆どのトラックが走れなくなるような規制は、他に意味があるのではないか、と感じられる程厳しいものだった。
この規制には、荷物輸送のトラック以外に元が1ナンバー4ナンバーの「トラックベースの8ナンバー」も入っていて、キャンピングカーも含まれていた。

キャンピングカーのメーカーや、キャンピングカーのオーナー達が集まって対策を調べたが、当時のキャンピングカーに乗っている人たちの数は少なく、とても大きな声にはならなかった。
いろいろと調べて行くうちに、ヨーロッパなどではガソリン車よりむしろディーゼル車の方が、資源の浪費を防ぎ環境にも易しいと言われていることが判る。
何故日本のディーゼルエンジンは世界的にも評判が良いのに、国内でこうした規制が必要な程排出物に問題が出るのか...原因は軽油に含まれる硫黄分の量だった。
ヨーロッパの軽油の方が硫黄分が遥かに少ないために、排出物が日本の軽油よりずっとクリーンなのだ。
それで、日本の軽油の硫黄分をヨーロッパ並みにすれば、ディーゼル規制の排出基準値をクリアー出来るはずだから、硫黄分の少ない軽油にしてくれと言う意見を出したが...

どこぞの力ある勢力にとっては、大手の石油会社の設備を変更して硫黄分を少なくするより、ディーゼルエンジンのトラックを乗れなくして買い替え需要を起こす方が遥かに魅力的な流れだったらしい。
おまけに、トラックの黒煙や白煙の匂いや排出物が嫌なのは多くの市民に共通した認識だったから、この流れは止まらなかった。

キャンピングカーを乗り続けるには、毎年100万以上の金を出して「触媒」を取り付けるしかなかった...おまけにそれを付けるとエンジンのパワーは足りなくなり、それでなくても自然渋滞の元になりやすいキャンピングカーでは、普通の流れに乗った走行は無理となってしまう。
経済的にも実際の使用の面でも、どう計算しても乗り続けるのは不可能だった。

ずっと乗ろうと言っていた「最後の車・キャンピングカー」は、6回目の車検は通してくれない...車検場から出さない、と宣言された。
ディーゼル規制で大騒ぎだったために、あれだけ高価だったキャンピングカーも二束三文でしか売れず、結局作ってもらったセキソーボディーに引き取ってもらうしかなかった。
車がなくては困る生活のために、いろいろと相談して次の車は決まったが...

それにしても、この規制が(キャンピングカーにとって)インチキだと感じるのは、この規制が外国製のトラックベースのキャンピングカーには適用されなかったこと。
アメリカ製・韓国製・ヨーロッパ製の、日本車より遥かに排出規制値の悪いトラックがセーフだったのだ。
始めにベース車を決める時に、安い韓国製、パワーのあるアメリカ製、洒落たヨーロッパ製、それに信頼性がありクリーンな日本製...と世界のトラックを比べて日本車を選んだのに、その一番クリーンだった日本車が乗れなくなって、数値が遥かに悪い外国製トラックベースのキャンピングカーはまだ走っている。
単純な力関係なんだろう。
外国車を規制に入れると外交問題になるのを恐れたからだと聞いた。

という訳で、夢のキャンピングカー生活は10年12万キロで終わった。
そして、娘達も仕事に就いて、今までのような長期の夏休みなんてとれない...長かった家族旅行の季節も終わることとなった。

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2012年5月18日 (金)

至福の時間を過ごす場所

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夢のキャンピングカーは、ゴルフ前夜の「至福の時間」を過ごすには贅沢な空間だった。
8人が寝られる広さは、2階部分のスペースだけで4人が寝られる...二人なら大の字になって寝られる余裕があった。
そのため、1階部分はイラストのようにテーブルと椅子の形のまま、ゆっくりと出来た。
壁にもたれかかり、長椅子に足を伸ばし、テーブルの上には酒や摘みや本を置いて、入り口近くに備え付けた車載用テレビデオで昔録画したマスターズや全英オープンのビデオを見たりしていた。
いわば動く別荘とも言える大きさだったので、寛ぐには十分だった。

しかし、今の車は広さで言えば半分くらいだろう。
至福の時間を過ごすには、キャディーバッグを片付け、ボストンバッグを片付け、布団の用意をしてやっと前夜祭のスペースが取れる。
照明も明るいし、足を伸ばしてゆっくり出来る事は同じだから不満は無いけれど...やはり以前の広さが懐かしい。

と書くと、あのキャンピングカーが「最後の車」ではなかった事が判ってしまうけれど...
大借金をしてあのキャンピングカーを買った時には、あれを20年以上乗るつもりだったのだ。
実際にセキソーボディでも、そのくらいのメンテはしてくれると約束してくれたし、家から20メートルくらいの距離に駐車場を借りていたので、家の「離れ」みたいな形でキャンピングカーを動かしていないときでも利用していた。
電源コードを家から伸ばして、私の仕事の打ち合わせに使ったり、奥さんが友達と喋ったり、娘達が漫画を描いたり...本当に役に立った。

車的には何の問題もなかった。
しかし、ある日突然、この車に乗り続ける事が出来なくなるような事態が発生した。
一人の男のパフォーマンスで。

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2012年5月11日 (金)

夢のキャンピングカーで行った場所

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キャンピングカーでの旅は、3日以上の長い旅の方が楽しい。
そのために、どうしてもメインは子供の夏休みなどに合わせて1週間から10日かけての旅となる。

冬休みや春休みはせいぜい2〜3日の旅だけど、夏休みは半年くらい前から仕事の都合などを調整し、世話になっている方々に、早めに原稿を貰って早めに仕事を進める事をお願いしていた。
そうして、なんとか2週間以上締め切りを先行しておいて、10日間前後の旅が出来た。

旅に出るのが7〜8月となると、どうしても出かける方向は北。
家族の北方志向というのもあるが、実は本州の夏はキャンピングカーの旅にあまり向いていない、というのも理由だった。
それは結局、車中泊というのは外気と同じ気温で寝るという事...つまり、熱帯夜なんていう気象条件では暑くてとても寝られない。
もちろん、今のキャンピングカーで屋根などにクーラーを装備しているのもあるけど、あれは発電機を使って回さなければ使えないもの。
車のクーラーを使うという事も出来るが、どちらも結局エンジン音や発電機の音を出し続ける事になる。
道の駅や駐車場などで、夜中じゅうそういう騒音を出し続けるのもマナー違反と考えるので、窓を開けただけで寝られる地方へ行く事が快適な旅の条件とも言えた。

で、まず行ったのが憧れの北海道。
色々調べて、関東から行くには一旦新潟まで行って、新潟〜小樽のフェリーを使う事が便利な上に安かった。
朝方小樽に着くので時間を無駄にせずにすみ、いつもまずオロロン街道を北上して稚内に向かった。
オロロン街道は、自分のイメージの中の北海道に近く、広く荒涼として北に向かう真っすぐな道は夏だというのに不思議な「最果ての地」の雰囲気に満ちていた。
また、残っている廃線の跡に往時を思い、廃屋に北の暮らしの厳しさを思う。
そして、途中にあるかってのニシン御殿「花田番屋」で昼寝をしたりして...最初の時にはニシン漁で華やかだった頃の夢を見たような気がする。

一度最北端の岬に行ってから、そのまま海岸を走って網走に向かったり、内陸に入って富良野や美瑛に向かったり、気の向くままの旅が出来た。
当時の北海道は、観光地や景勝地には奇麗で立派な無料駐車場が整備されていて、車中泊の場所に困る事は無かった。
無料の温泉もあちこちにあり、初めて食べた一匹丸ごとの大きなタラバガニには、それだけで家族全員腹一杯になった。
今は世界遺産になってしまった知床で、カムイワッカ湯の滝の滝壺前に駐車して、家族で水着になって滝を上って温泉を楽しんだり、ヒグマの姿を見かけて慌てて逃げたり...
北海道にはたった2回どころではなく、まだまだ何回も行くつもりだったけど...

娘達が学生で夏休みがある間は、東北の旅では4駆のキャンピングカーという事を活用して白神山地の林道を走ったり、もう無くなってしまった三陸の町を訪ねたり、奥飛騨や高山、能登や越前...等々を旅して回った。
しかし、北海道以外の地方は、たとえ青森でも夏の夜は暑くて寝られず、快適に寝るためには標高500メートルを超える場所に行かなければならなかった。
涼しさとは、北海道以外では「緯度より高度」なんだと、思い知らされた。

しかし、どんなに惜しんでいても時の流れるのはあっという間で、娘達が学校を出てしまうと共に長い休みは夢物語となり、家族揃っての長い流れ旅は出来なくなってしまった。

そして、「最後の車」「20年以上乗る」と決めていたこのセキソーボディーのキャンピングカーに、乗れなくなる時期が来るとは思ってもいなかった...

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2012年5月 3日 (木)

キャンピングカーの運転

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これも、あくまで自分が買った車で、自分の運転で、という話だけれど。
これから、もしキャンピングカーを買う予定があるなら、参考になるかと。


元々このキャンピングカーは、1・5トン車のいすゞエルフの荷台に家1軒を載せたようなもの。
どうしても、感触としては何時も荷物満載で走る1・5トントラック、という感じになる。
サファリから変わって一番苦労したのが、道路の流れに乗り遅れる、ということ。
元々今まで乗っていた4駆車でさえ、「スタートダッシュを聞かせて流れを引っ張る」なんていう車ではなく、手早くギアを切り替えながらなんとか流れに乗って行くという感じだったのに、この「トラック」はどうやっても流れに乗るのは無理。

しかし中にゆったりと乗っている人にとっては、そんな急なスタートや加速は必要なく、「そういうもので丁度良い」とも言えた。

しかし、ちょっとした上りの坂道では...これは辛い。
セカンド・サードで、床を踏み抜く程アクセルを踏んだって、流れの乗って行けない。
フォースやトップギアは上り坂で使えるはずもなく、サードで必死に回しても最高時速40キロ!
勿論すぐに後ろには数台から数十台の車が並び、自分が車を後ろから押している程全身に力が入り、汗びっしょりでのろのろ走ることになる。
少しでも広い場所に出れば、ハザードランプで端により、後続車をやり過ごす...「悪いねえ..」なんて謝りながら。
また、トラックベースのキャンピングカーは、後輪のショックアブソーバーは高加重に対応するために固めになっていたり、板バネであったりする。
すると、ちょっとした悪路でも後部は跳ねまくり、後部に備え付けられていることが多いキッチン関係の小物は大地震の時のように跳ね回る。
瀬戸物などは絶対に割れるし、包丁なんかも飛んでくる(勿論それを防ぐ方法はあるけれど)。
ここは、割れないものを用意するのが一番。

観光地などに行って、古い町並みなどを走るとき...日本製のキャンピングカーは道の狭さを考慮していて、車幅が2メートルを超えるものは無いのだが、気をつけるのは車高の高さ。
古い町並みは、軒先が低く、看板や店の飾りなどもイメージよりずっと低い所にある。
この上の方の看板などは運転席から見え難く、注意していないと思わぬ所で「ガチャン」となる。

そして、一番注意するべきことは、高速などでの風圧。
最近は見ないが、以前はあちこちでキャンピングカーの横転事故を耳にした。
その原因を見てみると、高速道での急ハンドル。
何も急な車線変更とかではなく、大型トラックの影響があったものが多い。
これはキャンピングカーに乗り始めて、始めて高速道で経験した時には驚いた。
当然スピードのあまりでないキャンピングカーは、走行車線を大人しく走っているのだが、そのためにスピードを上げた大型トラックにしょっちゅう追い抜かれる。
そのとき、まず後ろから高速の大型トラックが近づくと、いきなり車体が左に押し出され流される。
「え?」と思っていると、大型トラックが横を走り抜ける...途端に今度は車体がトラックの方に引っ張られ吸い寄せられる。
これは、特別にハンドル操作をしなくても、押し出され、引っ張られて元の場所に帰るのだけど、この押し出された時にパニックになり、右方向にハンドルを切って戻ろうとすると危険なのだ。
左に押し出されたので、右にハンドルを切る...すると直後に今度は右に引っ張られる!
こうなると最初に右にハンドルを切っていたために、急激で極端なハンドル操作となり左から横転して大事故になってしまう。
数回、押され・引っ張られを経験すると、「こういうものか」と判るのだが、始めての経験の時は驚く。
何しろ普通の車よりは重心の高いキャンピングカー、こういった知識があると無用の事故は避けれるか、と。

便利さと不便さは裏腹のこととして、もしキャンピングカーを手に入れられたら、こんなことに気をつけて楽しんで頂きたい。

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2012年4月24日 (火)

キャンピングカーの装備

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一大決心をしてキャンピングカーを手に入れたのは、約20年前。
それから10年程キャンピングカーに乗り続けている間に、世の中の状況が劇的に変わって行った。

ランクルで車中泊していた時代から、キャンピングカーでの車中泊を始めた頃まで、車中泊をするのは観光地や総合運動公園などの、トイレのある広い駐車場がメインだった。
そのために、そういう人同士で何処の駐車場が静かで良いとか景色が良いとか、情報交換をしながら旅をしていた。
しかし、そうした情報で車中泊する場所も、決してトイレはきれいではなかったし、静かに寝られるような場所は少なかった。

そして、食事も夜やっているような店は少なかったし、飲食店に入ると金が高かったりかで、簡易ガスコンロなどを利用してインスタント食品を食べるのが普通だった。
そのために、キャンピングカーを造る時には、トイレとキッチンは必需品だと思ったし、それに汗を流すための温水シャワーは絶対必要だと思っていた。

それが変わって行ったのは、まず「コンビニ」の増加。
それも24時間営業の店が増えるとともに、いつでも暖かい食事や飲み物、それにトイレまで使えるようになった。
そして、今も日本中に出来つつある「道の駅」の誕生。
これは凄いことだった、これで文字通り「道の駅」から「道の駅」に、まるで鉄道のように泊まる場所への不安が無くなった。
何より駐車場が広いし、トイレもコンビニより使いやすい...今では、ウォシュレットのついたトイレや暖房便座のトイレも多い。

そして、やはり日本中に増えた「日帰り温泉」。
これで数百円で温泉に入れてのびのび出来る。
一人ずつ温水ボイラーでお湯を沸かして、狭いトイレ兼シャワールームで湯量を気にしながらシャワーを浴びなくても済む。

こういう状況になると、あとで自分で排水や下水の始末をしなくてはならない、車内の温水シャワーやトイレを使うことは、まず無くなった。
キッチンも、極偶にコーヒー用のお湯を湧かすくらいしか使わなくなった。

そして、見かけは豪華な装備と見える電子レンジや冷蔵庫は、実際に使ってみると期待はずれな代物だった。
電子レンジは走行中なら何度か使えるが、消費電力が大きいために停車中に使うと1回しか使えない。
巨大な車載バッテリーを2台も積んでいるのに、2度目にはバッテリーが上がって使えなくなる。
冷蔵庫も同じ、停車中にスイッチを入れたままにしていて、バッテリーが上がったことが何度かあった。
それに、はっきり言って冷えない!
氷を作るなんてとんでもない話で、ビールもジュースもろくに冷えはしない...結局あとはクーラーボックス代わりに、コンビニで板氷を買って中にいれ、それで冷やしていた。
いずれも、家庭で普通に使う感覚では車載バッテリーを使用した製品は使えないということ。

役に立ったのは、まず吸排気兼用の換気扇...暑すぎるのも寒すぎるのも、これの換気能力は強烈で外の新鮮な空気を入れたり、こもった熱気を逃がしたり、よく活躍した。

そしてプロパン利用のガスFFヒーター。
これは良かった...どんな寒い時でも、スイッチ一発で数分で車内が暖かくなった。
吸排気とも車外なので、室内の空気の心配をすることがなく、安心して使えた。

そして、あまり知られていないけど役に立ったのが、後部の車体に取り付ける簡易ジャッキ。
鉄の棒1本で簡単に2トン近い車体をリフトして、後輪を上げてしまう。
そうすると後ろのタイヤの分がジャッキで支えられ、殆どの車体の揺れが収まる。
車中泊に慣れていないと、一番気になるのが車体の揺れ...寝返りを打っただけで車というものは揺れるので、その度にほかの人が目が覚めてしまう...というより自分で揺れで目が覚める。
車が揺れなくなるというのが、どれほど安心して寝られるかよくわかる。

そしてもう一つ、車内のシャワーは殆ど使わなかったが、車外に取り付けたシャワーはよく使った。
足を洗う、手を洗う、の他に、野菜でも果物でもちょっと水で洗うというのに、よく使った。
...一番使ったのは、娘達が海で遊んで砂だらけになったあとの、塩と砂落としだったけど。

しかし、そういう時代の変化と関係なく、キャンピングカーで一番大事な装備は変わらない。
そのキャンピングカーで一番大事な装備とは、安心して寝られるベッド。

他の装備はともかく、安心して寝られるベッドを持ったキャンピングカーが一番。
現実に、殆どのキャンパーは向かい合わせの椅子テーブルセットなんて使わない。
まず、いいベッド、それを考えることだ。

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